映画 感想

タイムトラベルSFの巨塔 バック・トゥ・ザ・フューチャー

 

バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズは誰もが知るSF作品の巨塔で、映画にはあまり興味がないと言う人でも一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
本シリーズは3部作となっており、いずれもマイケル・J・フォックス演じるマーティ・マクフライが主人公。友人のエメット・ブラウン博士が発明したタイムマシンに乗り、1985年・2015年・1955年・1885年の4時代を冒険する。第一作目の公開は1985年であり、公開当時2015年といえばはるか未来だった。それが現在では過去の出来事となってしまっているのだから、時代の流れとは恐ろしいものである。また、1985年世界が今となっては遠い過去になってしまったことは逆説的であるし、当時想像されていた2015年の世界と実際の2015年世界を比べてみることも面白い・・・等と語るべきことは山ほどあるが、ここではタイムトラベルとタイムマシンに商店を絞って述べることにする。
本作で最も中心的なSF要素は、「タイムトラベルによって過去を変えるとどうなるか」というコンセプトである。これは現代科学でも明らかにされていない問題で、実際には因果律を破る事象はアインシュタインの特殊相対性理論によって禁じられている。また、過去が改変された場合の物理的な解釈についても、量子論の立場からエヴェレット解釈やコペンハーゲン解釈など様々な仮説が提唱されているが、机上の空論の域は出ていない。
本作ではそのような野暮な指摘はせずに、例えば「自分が過去に遡って自分の両親の出会いを邪魔したらどうなるか?」「自分が過去に遡って過去の自分と遭遇したらどうなるか?」「未来に行ってギャンブルの結果を調べて現代に戻ってきたらどうなるか?」といった、素朴な疑問が描かれている。これらは現在ではカビの生えるほど使い古されたアイデアではあるが、その映画における起源とも言えるのが本シリーズなのである。
また、タイムトラベルに必要なエネルギーを少量のプルトニウムとデロリアンによる88mph(142km/h)の速度によって得るという個性的なアイデアも光る。タイムトラベルに核燃料を用いるというアイデアは、タイムトラベルが実現困難な所業であることを端的に表すのに役立っている。また、デロリアンは当時限定生産されたスポーツカーであり、88mphという速度も通常の市販車では事実上到達不可能であったため、タイムトラベルが困難であることを一層際立たせた。それでいて身近な車という乗り物をタイムマシンに選定した脚本家には脱帽するばかりである。因みに現在現存するデロリアンの何台かは、本作品と同じデザインにリメイクされた上で電気自動車に改造されていることも付け加えておく。
タイムトラベルに関する話題だけでも本作はタイムトラベル系SF映画の祖ともいうべき作品である。他に語るべきことは山ほどあるが、まずは一度観ることを強くおすすめする。

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