映画 感想

マイ・ブルーベリー・ナイツの感想


カフェに並んだケーキ。アップルパイやチーズケーキは完売するのに、ブルーベリーパイは残ってしまう。ブルーベリーパイが美味しくないわけではなく、ただ選ばれなかっただけなのだ。
主人公エリザベスは恋人の心変わりで振られてしまうが、カフェのオーナージェレミーと話すことで癒されていく。毎晩売れ残ったブルーベリーパイを食べながらエリザベスは「まるで自分のようだ」と感じる。ジェレミーは「ただ選ばれなかっただけだ」と伝える。毎晩売れ残ると分かっていてもジェレミーはブルーベリーパイを作り続ける。
エリザベスは旅に出る。旅先からジェレミーに手紙を書き、ジェレミーは会えない彼女に焦がれる。
旅から戻ったエリザベスはジェレミーの元へ帰る。理由を探すのを止めたとき、新しい景色が見える。
恋の終わりに理由はない。売れ残るブルーベリーパイと同じ。それ自体に問題があるからでもなく、魅力がない訳もない。ただ選ばれなかっただけなのだ。
なぜジェレミーは売れ残るのが分かっていてもブルーベリーパイを作り続けるのか。それはブルーベリーパイを美味しいと言ってくれる人もいるから。
別れ話の際に、理由を問うことはよくある。明確な理由を言われるとこもあるが、言われないこともある。「んーなんとなく合わないかなあ」と言ったあなたの恋人は素直な人だったのだろう。逆に、明確に理由を述べられた時、その理由はただの口実かもしれない。その理由に納得して、改善できたとして、上手くいくことはあるのだろうか。私はたいていの場合だめになるのではないかと思う。ブルーベリーパイを選ばなかったのに、ずっと食べ続けることはお互い辛いと思う。「んーなんとなく合わないかなあ」と言われたら、さっさとブルーベリーパイ好きの人を探すべきだと思う。ブルーベリーパイ好きだったあなたの恋人は、もうチーズケーキ好きに変わっているのだ。
ウォン・カーウァイ監督作品で多いに期待され、批判も多い作品だが、ムードある音楽と鮮やかな色彩、距離のある恋愛を美しく描いている。ジュード・ロウの優しさにキュンと来る女性は多いはず。ノラ・ジョーンズの大きな瞳もはまり役。恋の終わりに理由はないという深いテーマに、いろいろと考えさせられる。見た後にもう一度見たいと思う。ブルーベリーパイが美味しくないわけではなく、ただ選ばれなかっただけなのだ。そしてアイスクリームをたっぷりのせたブルーベリーパイを今すぐ食べたくなる!

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